<銃を弾け、楽器を撃て 〜The Superior〜>


〔'2003年11月27日〜12月1日 全7回公演
 ひらり空中分解。<仮>Vol.6
 恵比寿・エコー劇場

脚本:金津泰輔
演出:郷田ほづみ
音響:リッキーリュウタ
証明:阿部由紀子
舞台監督:宮脇良太
出演:ひらり空中分解。<仮>
    矢崎まなぶ大和波路樋口泰子

観覧日:12月1日18:00時の部(最終)


#パンフレット#

 波路さんがゲスト出演していました、
舞台「銃を弾け、楽器を撃て 〜The Superior〜」を見てきました。

まず内容を説明すると、
背景は戦地、登場人物は軍人とシスター(波路さんです)、
一人の軍服を着た女性が教会近くで倒れているのをシスターが発見、
教会に入れるが、「イアン大佐は!」と錯乱状態で叫ぶと気を失う。

その直後に若い軍人が銃を構えて入ってくると、
シスターに手を上げろと命令、シスターはしぶしぶ言うことを聞く、
教会であり、シスターでもあることもあり銃を下ろすがまた次の軍人が3名(?)登場、
その3人のうち一人は、どう見ても人形・・・瀕死の重症でそのけが人を抱えているのが
太った気の弱そうな軍人、もう一人は医療班らしく聴診器をクビに下げている、
ここで階級の話が出てきて、若い軍人はベンと言う二等兵(1番下っ端)であり、
聴診器を下げているのがチャーリー上等兵、瀕死の人形・・・はデッド伍長、
そして太った軍人がこの中で1番の上官であるガブリン中尉、
その後さらに兵卒教育係のエリック軍曹、通信機器を持つフェルナンド准尉がやってくる、
このメンバーに与えられた任務は、戦闘中に行方不明になったハンナ少佐の捜索、
一同で寝ずの捜索を決めた瞬間に、シスターのアルルが発言、
「その少佐は女性ですか?」
実は最初に気を失った女性が、ハンナ少佐であった、
これにより任務完了!

残り少ない兵でこの後どうするか?
そんな矢先に敵からアナウンスが流れる、
言葉の分らない皆は唯一言葉の分るシスターに通訳をしてもらうが、
そのことを伝えるのが一苦労、上官の命令は直属の部下に伝える、
それをまた部下に伝えまた伝え・・・伝言ゲームになっている、
これにいらついたシスターがさっさと訳した、
「投降してくれば命は保障する」
このことを聞いたハンナ少佐は、このアナウンスを信じることなく徹底抗戦を命令!
皆もしぶしぶ賛成するが、アルルが懸命に命を大事に、投降しましょうと勧める、
それに揺らぐベン二等兵、そこでハンナ少佐は投票で決めようと提案、
無記名で1つでも投降があれば投降しようというが・・・

皆投票し、デッド伍長の番になるが、瀕死のため動けずベン二等兵が肩を貸し投票した、
開票した結果、なんと1票投降票があった!
これにおどろくハンナ少佐、誰が書いたんだ!と起こるフェルナンド准尉、
ハンナ少佐は今回の投票は無記名と言いながら、皆が投票内容を口にした
と言う理由で再度投票することになる・・・

さらに次の投票では3−3になり、3回目の投票では投降5戦闘1になった、
これによって投降を決めることになったハンナ少佐、
皆の投降を安全に出来るようアルルに頼むが、ここでアルルが意外なことを口にする、
「まだあなたの力が必要なんです」と、
ハンナ少佐がなぜか問うと、最初に訳したアナウンスはでたらめで、本当は
「人質のアルルに外に出てくるように指示、他の兵は皆殺しにする」
と言うものだった、アルルは自分が助かるため、そしてスパイであった父を見殺しにした
軍に対する復習でもあったが、皆と話をしているうちに、
自分が憎んでいるのは父を見殺しにした群であって、ここの6人ではないと言うことに気づき
皆で生き残る道を探ることにした。

ハンナ少佐が昔武器がなくなった軍はそこら辺にあった楽器を鳴らし捲くったところ
相手の軍が応援軍が来たと思い撤退し助かった、と言う話をして、
教会にあった、ポリタンク、洗濯板、灯油缶など目一杯鳴らして相手への攻撃を開始した。

 だいぶ中略しましたが、この話の中で投票と投票の合い間をプレイバックで紹介、
そのシーンが面白い、中でも1番なのは、波路さんのアルルがチャーリー上等兵に
投降票を入れるよう説得するところ、そのために誘惑するシーンが良い!
チャーリー上等兵はこれまでなんとなく生きてきた、なんとなく左足から踏み出したら
地雷を踏まなくてすんだことや、なんとなくのけぞったらその上を銃弾が通過したとか、
だから戦闘の票も、なんとなくそう思うからそうするんだと言うと、
アルルはチャーリー上等兵の手をがっちり握り”誘惑”する、
殺し文句は「なんとなく」・・・しびれます!

他にもエリック軍曹とデッド伍長の友情秘話、ガブリン中尉の得意技土下座説得、など、
泣き所笑い所も要所要所に入っていて、見ごたえのある舞台でした。

全体的には楽しく面白い作品で、役者さんも皆さん味を出していて言うことありません、
ただ、詰め込みすぎた感があったような気もします、
アルルの父親がスパイで見殺しにされたと言うのが余りにも唐突で、
その後の発展もなく、イアン大佐を上官以上の気持ちで想っているハンナ少佐は
それまでの言動行動から受け取れただけに、あと15分伸ばしてでも、
アルルと父の話を入れて欲しかった。

全体的にはコメディーに大事なスピード感もあって楽しめる舞台でした、
上下関係は今もなおあり続け、それで苦労をする人も多い、
そんな人たちがこの舞台を見たら、結構すっきりするかもしれません、
最後のデッド伍長の意外な行動には驚かされましたが、
笑いのつぼを心得ている作者さんで、見るほうも安心して笑えます。


文:た〜ちゃん

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