<12人の優しい日本人>
〔'91・ニュー・センチュリー・プロデューサーズ= サントリー=日本テレビ放送網〕 監督:中原俊 脚本:三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ 撮影:高間賢治 音楽:吉田就彦 編集:冨田功/冨田伸子 出演:塩見三省/相島一之/上田耕一/ 二瓶鮫一/中村まり子/大河内浩/梶原善 この作品のDVD・ビデオを欲しい!と思った方は、 下の検索窓↓にタイトルを入力して検索してください |
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ある事をきっかけに次第に議論は沸騰する、
有罪、無罪の間を二転三転行ったり来たりする様子はまさにスリリング、
まじめなもの、笑えるものなど新たな推理、仮定が次々と浮かんでは消える、
終盤、トヨエツ扮する「自称弁護士」が次々と仮定をひっくり返して真実に急迫するスピード感は、
審議のジェットコースター・ムービーと言っても良いような迫力、
12人もいるけれど、全員面白いほど明確で個性的な性格が与えられていて無駄な人が居ない。
(監督のインタビューを読むと12人全てに家庭環境など細かい設定があったようで、
それを出演者が飲み込んでいたからこそ、目の離せない映画になったのでしょう)
三谷作品らしく所々で”笑わし所”がある、例えば、
「貴花田と若花田、どっちが先に横綱になるか」という話になり決を採るシーンには爆笑!
最後に裁判の結果となる、決め手のシーンでも笑える(これは見てのお楽しみ)
基が舞台用の作品と言うこともあってか、登場する場面は審議している部屋が大半で、
他にちょこっとだけ、隣の部屋や廊下が出てくるだけの一見動きの無い作品だが、
カメラが発言者を追って次々と絶妙のタイミングでロングとアップを使い分け、
一つとして同じアングルがないと感じさせるほど、
これは、なまじ広い空間を自由に使うことの出来る撮影より、
よほど緻密な計算と徹底的なリハーサルを繰り返したことが見て取れるし、
会話の内容に応じて引いたり、思わず乗り出したり、という細かな移動を使った見せ方も、
「観客の気持ち」と絶妙に一致していて芸が細かい。
これは恐らく舞台で演じられたスピード感を映画らしく置き換えた結果で、
中原監督の腕のすばらしさではないだろうか。
自分は3回半(TVで途中から見たのは半分計算)見たが、
何度見ても実に面白い、それはやはり1人1人の個性とスピード感が飽きを感じさせないのだろう、
脚本、監督、出演者、カメラ、編集、音楽、全てが完璧にかみ合ったからこそで、
ひとつでも、出演者の1人でも道を外れたらこうはならなかっただけに、
この映画にかかわった全ての人が、最高の仕事をした結果が”飽きない映画”を生んだ。
この映画が公開された年は日本映画の当たり年だった、
山田洋二監督の「息子」黒澤明監督の「八月の狂詩曲」
北野武監督の「あの夏、いちばん静かな海。」竹中直人監督の「無能の人」
洋画では「ダンス・ウィズ・ウルブズ」や「ターミネーター2」など話題作が多かった、
それゆえに「12人の優しい日本人」は目立たなかった、
制作費は1番下だろうが、自分の中では面白さは1番上の作品。
文:た〜ちゃん
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